USB証券会社にて第2回DIP(障害受容講座)を行う

2008年10月30日、UBS証券会社の社員を対象に、第2回DIP(障害受容講座)を行いました。前回(2008年2月)に引き続き、内容をさらに充実させての第2回でした。 私たちの行うDIP(障害受容講座)は、座学ではなく、参加者との双方向で進めるプログラムです。今回、実際に参加した社員は20名弱で、インタラクティブに進めるにはちょうどよい人数でした。

まずはフットルースの紹介から。
フットルースは1997年に任意団体として出発し、2006年にNPO法人として再出発しました。私たちの特徴は、障害の横断的な活動にあります。したがってメンバーには、目の見えない人も、耳の聞こえない人も、車椅子を使う人もいます。そして、障害のない人たちもいます。さまざまな立場にある人たちがいればいるだけ、発想も豊かになると考えています。

私たちのDIP(障害受容講座)の目的は、障害、あるいは障害者という言葉にまとわりついている否定的な意味合いを、当事者の実際を当事者から知ることによって思いこみや偏見を取り除くことにあります。構成としては、障害別のデモンストレーションとインタラクティブな実習、参加型の「想像してみよう」、それを踏まえてのグループ・ディスカッション、グループ・ディスカッションの発表、質疑応答、まとめ、となっています。 身体障害では、車椅子ユーザーにフォーカスして、街で車椅子ユーザーのであったときのちょっとしたサポートの方法について行いました。
視覚障害では、誘導の仕方、望ましいコミュニケーションの方法を、聴覚障害では、目に見えない障害ゆえの特徴やコミュニケーションの方法などを伝えて、実際にやってみました。

ここまでで、ある程度の実際を知ってもらい、つぎにグループごとに障害の種類を割り当てて、そういう障害者に自分がなったつもりで、朝、目が覚めるところから、ある一日を「想像して」もらいます。
車椅子ユーザーのつもりで想像することになった一人は、寝室が2階で階段しかないので、朝起きたところで、すでにつぎの行動に移れなくなりました。
聴覚障害者のつもりで想像していた一人は、通勤電車の全線不通で振り替え電車に乗るまで、情報のとれない「疎外感」に触れました。
視覚障害者のつもりで想像していた一人は、とにかくなにがどこにあるのかわからなくて、身支度して会社に向かうことすらできなかったそうです。

このように参加者からは、さまざまな意見がでました。そのような不便さを実際にどう問題解決しているかに応えた質疑応答。
最後のまとめとして、障害の違いによって、サポートの仕方も変わって来ることを伝えました。車椅子ユーザーにとってはアクセスが、目の見えない人にとっては言葉による誘導が、聞こえない人にとっては、言葉を視覚化する工夫が大事になります。そして障害は乗り越えるものではなく、その人の一部であるということ。その一部がマイナスに作用するかどうかは、社会が障害をどう見ているかで決まります。
障害のある人とない人には、同じ人間として共通していることも、違っていることもあります。共通していることをお互いに認識できれば、友だちや同僚になれるでしょう。
違っていることをお互いに認識できれば、自然に手を貸せるようになるでしょう。私たちは、社会を構成する同じ一員として出会い、向き合える場が必要なのだと思います。(青海)