■ なりたち

「障害者国際交換プログラム・フットルース(略称、フットルース)」は、ある一人の女性の願いから生まれました。彼女は、米国オレゴン州・ユージーンという町で3カ月間を過ごし、一人でどこにでも自由に行ける環境と、彼女を「障害者」としてでなく、「人」として接する町の人々にふれ、「こんな社会をもっと広げて行かなければならない」と思いました。

 ユージーンでは、町の中を走るすべてのバスに車椅子リフトが付いていて、建物や道路の段差の近くにはスロープがあるので、電動車椅子を使う彼女が人の手を借りずに、好きな時に好きな場所に行くことができました。

 けれども、この町が住みやすいと彼女が思ったもっと大きな理由は、町の人々でした。彼らは、障害を持った人に出会っても、どうしたらよいのかと戸惑うわけでもなく、無理なく自然につきあっていると感じたのです。

 そこで、最初のステップとして、日本の人たちに彼女が体験したことを伝えて行くために、みんなでユージーンへ行こうということになりました。そして、1996年、彼女の考えに賛同する仲間が「交換プログラム準備会」を発足させました。これが、フットルースの前身です。

MIUSAとユージ-ン

交換先・MIUSA

MIUSA(Mobility International USA/モビリティ・インターナショナルUSA)はアメリカのオレゴン州、ユージーンにある障害者団体です。1981年に創設され、世界50カ国以上の国々から未来を担う障害者リーダーを集めて短期集中型のワークショップを開いたり、また、アメリカ全土から障害を持つ人たちの権利擁護運動などに関わっている人を集めて、外国で交流プログラムをしています。

   [Challenge yourself, Change the World]

これがMIUSAのスローガンです。

フットルースもこのMIUSAのプログラムに参加しています。2週間ほどのプログラムですが、過去の参加者の中には、これに影響を受けて帰国後語学研修を受けて改めてMIUSAのインターンとして渡米した障害者がいます。

オレゴン州ユージーン

 ユージーンはアメリカのオレゴン州にある林業の町です。またオレゴン大学(州立)がある学園都市でもあります。オレゴン州はビーバーステートとも呼ばれ森林と、豊かな川の流れの自然いっぱいの州です。北海道とほぼ同じくらいの緯度ですが、気候は温暖で、夏は涼しく冬もそれほど寒くはなりません。

 町の人たちはフレンドリーです。商店でもレストランでも障害者を他の人と区別することはありません。

 公共の移動手段はほとんどがバスですが、すべての路線バスには車椅子用のリフトが付いていており、車いすを使う人も自由に街を移動することができます。

 学園都市ということもあって若者たちが多くいますが、 この自由な雰囲気は60年代にアメリカ中から集まってきたヒッピーたちが作ったとも聞きました。あらゆる施設がアクセシブルで私たちが利用しただけでも、プール、乗馬、リバーラフティング、キャンプ場などが車椅子でも利用できました。また常に利用しやすいかどうか当事者たちによってリサーチされいます